肉離れ

肉離れの症状が疑われるとき、どのように対応すれば良いのでしょうか？
こちらでは、ケガの対処法として近年広まりつつある「PEACE＆LOVE処置」の概要をわかりやすくご紹介します。

Protection（保護）

打撲した直後に無理に動かすと、内出血や腫れが悪化する可能性があります。
患部を安静に保ち、必要に応じて包帯やバンテージで軽く固定しましょう。

Elevation（拳上）

皮下出血や腫れを軽減するには、患部を心臓より高い位置に保つことが効果的です。
足を打撲した場合は、横になってクッションの上に足を乗せて挙上するとよいでしょう。

Avoid anti-inflammatories（抗炎症薬を避ける）

炎症は、損傷部位に栄養や酸素を届ける過程で起こる自然な反応です。
強い痛みがない場合は、抗炎症薬の使用はできるだけ控えることが望ましいです。

Compression（圧迫）

内出血の拡大を防ぐには、患部を適度に圧迫することが有効です。
包帯やバンテージ、タオルなどを巻いて打撲した箇所を軽く締め付けましょう。

Education（教育）

医療機関や接骨院・整骨院での施術に加えて、ご自身でも回復に向けた対処を続けていくことが大切です。
少しずつ知識を身につけながら、日々のセルフケアにも積極的に取り組んでいきましょう。

Load（負荷）

過度な安静は、筋肉の低下や関節のこわばりを引き起こします。
専門家のアドバイスに従いながら、患部にも徐々に負荷をかけていきましょう。
ただし肉離れの場合は損傷部位の再断裂を防ぐためにも、炎症や痛みがおさまるまでは無理に負荷をかけず、段階的な再負荷を心がけましょう。

Optimism（楽観思考）

前向きな気持ちは、ケガの回復に良い影響を与えます。
思うように動けない時期でも復帰後の姿をイメージすることで、モチベーションの維持やストレス軽減につながります。
肉離れは再発しやすいため、「焦らず着実に回復する」ことを意識すると安心感にもつながります。

Vascularization（血流を増やす）

血流を促すことで、骨の修復が進みやすくなります。
ウォーキングや自転車こぎなど負担の少ない有酸素運動を取り入れ、循環を良くしていきましょう。
肉離れでは患部をかばいながらの運動となるため、痛みや違和感がないか常に確認しながら、無理のない範囲で行いましょう。

Exercise（運動）

無理のない範囲で、少しずつ身体を動かしていきましょう。
筋肉の維持や関節の動きの改善に取り組むことで、日常生活やスポーツへの復帰がよりスムーズになります。
肉離れの回復期には、柔軟性の回復と筋肉のバランス調整が重要です。
患部の過度なストレッチや急な動きは避け、段階的にリハビリを進めましょう。

肉離れというとイメージされるのがふくらはぎやももの筋肉だと思います。
ですが、実は筋肉のある場所であれば身体中どこでも発症します。
例えば、首の筋肉であれば寝違え、腰の筋肉であればぎっくり腰などが挙げられます。
原因としては、水分不足や疲労、筋肉の柔軟性低下が挙げられます。
その状態で筋肉に強い力が加わった時などに断裂してしまいます。
当院では、急性期にはハイボルト療法で炎症を引かせて痛みを改善していき、テーピングや包帯で筋肉のサポートをします。
そして瘢痕形成期（筋肉のかさぶた）には筋膜ストレッチ（リリース）や手技療法にて血流やリンパの流れを良くすることで正常な組織への改善を図ります。
かさぶたを放置することで再発のリスクが高まってしまうため、早期施術をおすすめします。

筋線維の一部が軽く傷ついた状態です。
歩行や日常動作に大きな支障はありませんが、動かしたときに違和感が生じる場合があります。
また、腫れや内出血はほとんど見られず、痛みの範囲も狭い傾向があります。
安静にしていれば数日程度で症状が落ち着く場合が多く、回復までの期間は1〜2週間が目安になります。

筋線維が部分的に断裂した状態です。
Ⅱ度の肉離れでは次のような症状がみられます。

・動作時はもちろん安静時にも痛みがある
・患部を押すと強い圧痛がある
・腫れや内出血が目立つ
・筋肉が突っ張るような感覚がある
・力が入りにくく、筋力が低下する

症状の程度によって異なりますが、回復には3〜6週間程度かかるとされています。

筋線維が完全に断裂し、見た目や動きに明らかな異常が出る重度の肉離れです。
Ⅲ度の症状例は次の通りです。

・損傷部がへこむ、または盛り上がって見えることがある
・激しい痛みがあり、歩行が困難になる
・筋肉がうまく収縮できず、動かせない
・広い範囲にわたって腫れや内出血が出る

完全に断裂したものでは、回復には2〜3ヶ月ほどかかるケースが多くなっています。

肉離れは、筋肉が急激に引き伸ばされた直後に強い収縮が加わることで発生します。
たとえば、ジャンプの着地直後に地面を強く蹴る、全力疾走中に急停止する、方向転換をするなど、瞬間的に大きな負荷が筋肉にかかる場面が典型例です。
スピードやパワーを必要とするスポーツでは、このような負荷が頻繁にかかるため、肉離れの発生リスクが高まります。

筋肉に疲労が溜まると緊張が強まり、柔軟性が低下していきます。
硬くなった筋肉は、伸張や収縮のストレスでも筋線維が負荷に耐えられず肉離れを発症しやすくなります。
とくにハードな運動をしているのに休息を設けなかったりクールダウンをしっかり行わなかったりすると、さらに疲労が蓄積し、肉離れのリスクが高まります。

準備運動をせず、急な動作を始めることもリスクの要因になります。
筋肉が温まっていない状態では柔軟性が不足し、運動による負荷をうけやすくなります。

年齢を重ねるごとに身体の水分量が減少していきます。
また、コラーゲン繊維の変性なども加わり、筋肉の弾力性が徐々に失われていきます。
それにより筋線維がスムーズに伸び縮みしなくなるため、肉離れが起こりやすくなります。

過去に肉離れを起こした部位では、筋線維が瘢痕組織（硬いしこり状の組織）に置き換わっている場合があります。
瘢痕組織は硬く伸びにくいため衝撃を分散できず、再び力が加わると損傷を繰り返しやすくなります。
とくに回復過程で十分なケアが行われていない場合は、再発する可能性がより高まります。

肉離れを放置すると、損傷した筋線維が元の状態には修復されず、組織が硬く残るケースがあります。
柔軟性や筋力が十分に戻らないまま運動を再開してしまうと、再び同じ部位に負担がかかり、再発する可能性があります。
再発した症状の方が損傷の程度が深く、回復までの期間も長くなる傾向にあるため注意が必要です。
肉離れを繰り返さないために、段階ごとのケアを心がけましょう。

筋肉に硬さが残ると、突っ張るような感覚や動かしづらさが続く場合があります。
スムーズに動けない状態は、スポーツで瞬発的な動作ができなくなり、パフォーマンスの低下につながる可能性があります。
また、立ち仕事や長時間の移動をともなう業務でも疲労が溜まりやすくなり、集中力や作業効率低下の原因になることがあります。
筋肉の柔軟性や機能を取り戻すためにも、痛みが落ち着いたあともケアを続けることが重要です。

肉離れの痛みをかばうと、片側に体重をかけるくせがつき、歩き方や姿勢にゆがみが生じやすくなります。
これにより膝や股関節、腰など身体の他の部位にまで緊張が広がり、身体全体の不調の原因となる可能性があります。

身体の冷えは血行を悪化させて、筋肉の柔軟性を低下させてしまいます。
運動前には必ずウォーミングアップを行い、身体を温めた状態でスポーツを開始しましょう。
とくに冬場は身体が冷えやすいため注意が必要です。
ネックウォーマーを着ける、休憩中や試合の待機中はベンチコートを羽織るなどして冷え対策を行うことで、肉離れのリスク軽減が期待できます。

体内の水分量が少ないと、筋肉の弾力性も低下しやすくなります。
肉離れの予防には、運動中のこまめな水分補給が重要です。
身体に吸収しやすいよう一度に大量に飲まず、少量ずつこまめに水分補給することをおすすめします。。
とくに夏場は汗で脱水しやすいため、水分とともにミネラルの補給もあわせて行いましょう。

ストレッチは運動の前後はもちろん、お風呂上がりや寝る前の習慣にしましょう。
筋肉をやわらかく保つことで、ケガの予防に期待ができます。
肉離れについては、太ももやふくらはぎなど下半身のストレッチが有効です。

・前屈して太もも裏を伸ばす
・足を前後に開いて立ち、ふくらはぎを伸ばす

呼吸をしながら、ゆっくりと筋肉を伸ばすのがストレッチのポイントです。